新刊発売です
「誰か助けて~止まらない児童虐待」(リーダーズノート新書)が発売されました!
やった、ついに、ようやく…、というのが率直な思いです。
東日本大震災の影響で発売が二転三転した経緯もありますが、それ以前に取材と執筆が本当に大変でした。
「児童虐待」というナーバスな問題を扱うわけですから、取材対象者を探すだけでも苦労の連続。
また、実際に取材してみると、自分では思いもよらなかった「事実」が次々と浮き彫りになり、問題の根深さを痛感しました。
私は児童虐待の報道に接するとき、「なぜ子どもを助けられなかったのか」と思うことが多くありました。
近所の人が児童相談所に通報していたり、学校が虐待の事実を把握していたりするのに「助けられなかった」、つまり子どもが死んでしまうのはなぜなんだろうと。
昨年7月に、大阪市西区で発覚した児童虐待事件などは典型例で、児童相談所に3回も通報があったにもかかわらず、3歳と1歳の子どもが水も食べ物もない部屋で衰弱死してしまいました。
児童相談所の対応に批判が集中しましたが、実際は似たようなケースが繰り返されているのです。
別の見方をすれば、助けられない事情があるのだろうか、あるとするならそれは何なのか。この追及を目的に、本書を書こうと決めたのです。
書名にもある「助けて」ですが、もちろん虐待を受ける子どもたちが発しているのは言うまでもありません。
でも、取材をしてみたら、「助けて」は子どもだけではないことがわかりました。
彼らを助けようとしている支援者、たとえば保育士や教師、児童相談所の児童福祉司たちも「助けて」と切実な思いを抱いていることに驚きました。
また、「臨検」など、あらたな権限が児童相談所に与えられながら、それを行使するのがむずかしい現状など、知ってびっくり、ということがたくさんありました。
悲惨な児童虐待の実態だけでなく、それを取り巻く社会のシステム、たとえば硬直化した行政、司法などの問題をぜひ皆さんに知っていただきたいと思います。
どうかこの本が、少しでも多くの方のお手元に届きますように。
そして、今もなお虐待に苦しむたくさんの子どもたちが、一日でも早く救われますように。