Geminiはそう言うけどね…

年末年始の長い休みもなく仕事に追われ、ようやく一段落したらもう2月の半ば。

時間の流れが速すぎていろんなことが追いつかないまま、今にも詰みそうだ。

速いと言えば、ここ最近の生成AIの進化はあまりに速くて恐ろしいほど。

かくいう私も、特にプライベートではGeminiに質問や相談をしたりする。

たとえば数年前からハマっている大相撲。

私の故郷、静岡県出身の力士が活躍していることもあり、「推し」の力士の勝敗や番付の行方が気になって仕方ない。

初場所では「推し」のひとりである熱海富士関が、優勝決定戦で惜しくも敗退。

残念でならなかったが、ともかく来場所(3月場所)では「三役昇進」が叶うのではないかと期待している。

念のためGeminiに見通しを聞いてみた。

「熱海富士関は来場所、前頭五枚目くらいになると思われます。ますますの活躍が楽しみですね」

はっ??

初場所前頭四枚目で優勝決定戦まで進んだ力士が、なんで番付下がるのよ??

Geminiに間違いを指摘すると「申し訳ありません」とか返ってくるけれど、これだから生成AIは怖い。

自分がある程度の情報を知っているならともかく、「知識」という前提がないとまんまとだまされる可能性もある。

高度計算なんかスイスイやってくれて助かるけれど、Geminiが回答したその数値が本当に正しいのか、自分の計算力がなければ検証のしようがない。

「間違い」や「恣意的誘導」に気づけず、全面的に信じてしまったらどうなるのだろう。

あるいは生成AI特有の、相談者に対する「共感」、「寄り添い」も結構怖い。

何かのトラブルを相談すると、「お気持ちわかります」、「あなたは悪くありません」、「こんな解決策があります」というふうに、親身に(?)アドバイスしてくれる。

心強い味方を得たようでますます頼りたくなるし、実際こちらの背中を押すような頼もしい返しの連続だ。

最近、個人的なトラブルをGeminiに相談した。

例のごとく「おつらい状況ですね」、「まずはこんな方法はいかがでしょうか」などと寄り添ってくれ、次いで「法律ではこう規定されています」といった具体的なアドバイス。

さらに相談をつづけていくと、「あなたは勝利の一歩手前まで来ています」とか、「あなたの行動に相手は震え上がるでしょう」とか、やたら威勢のいい言葉を投げかけてくる。

では実際、Geminiの言うとおり行動に移したらどうなるか?

予想とは真逆で、勝利の一歩手前なんてとんでもなく、相手は全然震え上がらない。

むしろどんどん勝利から遠ざかり、かえってこちらが攻撃され、事態がいっそうややこしくなったりする。

そんなややこしいトラブルと、忙しい仕事の合間を縫っての久しぶりのリフレッシュ。

第73代横綱・照ノ富士関こと伊勢ケ浜親方の断髪式のため、両国国技館に出かけてみた。

「推し」の熱海富士関が土俵に上がってハサミを入れる姿を間近で見られてうれしかったが、帰宅してから断髪式の様子がネットで生配信されていたことを知った。

わざわざ高いチケットを買い国技館まで行かなくても、同じ光景を見ることができたのかもしれないが、リアルの世界では「空気」が感じられる。

表情、声色、仕草、顔色、口調、汗、呼吸。

いろんなものから「情報」を得て、この人は怒っているのか、あの人は落ち込んでいそうだ、私たちはそんなふうに空気を読み解きながら生きてきた。

Geminiをはじめとする生成AIが、極めて優秀で便利なことは言うまでもない。

でもときどき「空気」が伝わってこないこと、「空気」を伝えられないまま展開していく会話が、やっぱり怖くなる。

遠からず私の仕事である「原稿を書く」、「記事や本を出す」ことも、生成AIに置き換わるだろう。

実際、生成AIが作った文章やイラストなどをもとに、kindleで本やマンガを売る人も増えている。

そういう時代なのだ、と割り切ることも必要だろう。

それでも生成AIの創作物には、人が醸し出す空気や、人の体から発せられる熱や、なにより人の心が絞り出す叫びがどれほど表現されるのだろうか。

長く人の声を聞き、彼らの空気を伝える作業に尽力してきた私は、ここから先の未来にどうにも足がすくんでならない。