今さらながらの感謝

3月24日、新刊『ウチの子の、結婚相手が見つからない! ~親の代理婚活でわかった「結婚の壁」』(文藝春秋)が発売された。

タイトルだけ見るとどこかふざけた印象だけど、内容はいたって真面目なもの。

未婚化、少子化が喫緊の課題とされる現代社会を、「結婚しない子ども」を持つ親の視点から読み解くとともに、未婚の当事者の本音、婚活業界の裏側、国の少子化対策の在り方などに迫っている。

ありがたいことに発売直後から多くのメディアの取材依頼があり、すでに文春オンライン(文藝春秋)プレジデントオンライン(プレジデントオンライン)などのWeb媒体で関連記事(抜粋記事)が配信された。

今後も新聞や週刊誌等で、関連記事や新著紹介、著者インタビューが掲載される予定だ。

この数カ月、刊行までのタイトなスケジュールもあって怒涛のような日々を過ごしていたので、「発売されればホッと一息」のつもりだった。

けれども実際には発売されてからのプロモーションがまた忙しい。

もちろん、ありがたい忙しさであることは間違いないけど、「ホッと」どころかますます忙しくて目がまわりそう…(汗)。

先週、講談社の某週刊誌の編集者から突然連絡があった。

当の週刊誌の編集長とは長いつきあいで、個人的に新刊を献本していたから、その流れでの連絡かと思ったらそうではない。

「書店で、たまたま石川さんの新刊を見つけたんです。それで読んだら、めちゃくちゃおもしろくて。ぜひウチで紹介させてもらえませんか」

そんな先方の言葉が、飛び上がるほどうれしかった。

前述のように新刊の関連記事はネットでさくっと読める。

仮に本を購入するとしても、Amazonなどを利用すれば簡単だ。

なんなら「講談社の〇〇ですが、石川さんの新刊関連の記事を書きたいので、1冊送ってもらえますか」と版元の文藝春秋に電話すれば無料で入手できるはず。

それが書店で、しかもたまたま見つけて購入し、「おもしろかったから」と連絡をいただけたことは予想外の喜びだった。

そんな中、新刊の取材に協力いただいた女性2人と、お礼を兼ねてのランチ会をした。

私のほうは献本をするつもりだったが、2人はすでに書店で購入済みだという。

それぞれ自分が購入した書店で平積みされていた拙著の写真を撮り、私に送信してくれた。

おまけに「出版祝い」と称してかわいいお菓子までプレゼントしていただき、ありがたいやら、申し訳ないやら…。

取材のときのこぼれ話からはじまって、拙著をお読みいただいた感想や今の日本社会のいきづらさ、女同士の本音炸裂トークなど、いろいろ弾んでとても楽しいひとときだった。

彼女たちに限ったことではなく、何年も会っていなかった知り合いから不意にメールが来て、「誰も触れなかったこの現実を、よくぞ書いてくださいました」とか、「一気に読んで、クスっとしたり、ドキッとしたり、最後は涙しました」とか、さまざまな声を寄せてくださる方がいる。

非力な自分が、こんなふうにたくさんの方に支えられているんだと実感し、胸に込み上げるものがある。

もちろん読者だけではない。

20数年にわたり私の執筆活動を支えてくださった文藝春秋の担当編集者は、この3月末で会社を去った。

私にすれば大きなショックと悲しみだが、当の編集者は3月31日の最後の出勤日まで一切の妥協なく、さまざまなサポートに尽力してくれた。

正直、担当編集者と「心中してもいい」という覚悟、つまり私にとっても最後の本になってもいいという思いで書き上げた本だけど、幸いなことに当の編集者はこれからフリーの立場で本づくりをつづけるという。

どんな状況になろうと支えてくれる人がいる限り、私も歩みを止めてはいられない。

今さらながらの感謝を胸に、しばしの充電期間を置いて、またあらたな道を探していこうと思う。