ウチの子の、結婚相手が見つからない!親の代理婚活でわかった「結婚の壁」文藝春秋(2026/3/24)

ウチの子の、結婚相手が見つからない!
ウチの子の、結婚相手が見つからない!

「はじめに」より

SNS、マッチングアプリ、ネット系結婚情報サービス、結婚相談所。さまざまな出会いの場がありながら、「なぜか結婚できないウチの子」に悩む親は少なくない。

それもそのはず、三〇代前半(三〇~三四歳)の未婚率は男性五一・八%、女性三八・五%。三〇代後半(三五~三九歳)では男性三八・五%、女性二六・二%(令和五年版厚生労働白書)。晩婚化とはいえ三〇代前半の男性では既婚者より未婚者のほうが多数派、女性も四割近くに上っている。

結婚はおろか交際相手がいない。たいした恋愛経験もない。そもそも異性と気軽に関われるような生活環境ではない。そんな我が子を前にして、親の不安が募るのも無理からぬところだろう。かくいう私もそのひとりだ。

(中略)

決して高望みをするわけではなく、ごくふつうの相手と平凡な幸せを築いてくれたらと願い、我が子にはそういう人生を送れるだけの資質があるとも思っている。

それなのになぜ結婚できないのか。ウチの子のどこが悪いのか。どうすれば結婚相手が見つかるのだろう。いっそ結婚しない人生を受け入れてやればいいのだろうか。容易に答えが見つからない葛藤が親を追い詰め、次第に傍観するだけではいられなくなる。

場合によっては子どもが結婚できないのは自分のせいだ、私の育て方が悪かったと苦しむ親もいる。現実的な問題では先祖代々受け継がれた土地や財産、長年つづけた家業をどうするかといった悩みもあるだろう。

(中略)

その詳細は後述するとして、私は代理婚活を皮切りに当事者である未婚男女の婚活や経験豊富な結婚カウンセラーを取材。加えてマッチングアプリや結婚相談所など婚活ビジネスの実態を探ってみた。

ひとつは未婚の二人の息子を持つ母の目、もうひとつは家族問題を取材してきたジャーナリストの目でさまざまな現実を前にしたとき、私に見えたのは思いもしない「結婚の壁」だった。

果たしてその壁とはどんなものか、本書を通じてあきらかにするとともに、喫緊の課題とされる未婚化についてあらためて考えたい。併せて我が子の結婚に揺れる親たちにこれまでとは違う気づきを、本当の意味で未婚の子を理解するための視点を得てほしいと願っている。

目次

第1章 親たちの代理婚活
未婚の息子や娘を持つ親同士が交流し、我が子の結婚相手を見つけようとする「代理婚活」。学歴や職業、年収といった条件だけでなく、真面目で優しい人柄をアピールしようと親たちは懸命だ。

いい歳をした子どもの代わりに親が婚活するなんて、そうためらっていた私も次第に熱気にのみこまれ、到底落ち着いてはいられない。我が子の身上書を携えて「お相手」候補の親と対面したが、そこには想像を超えた現実があった。

第2章 真面目な息子、優しい娘の市場価値
交流会で知り合った父親から「婚活抜きで気楽に」と誘われた二次会の席には、私を含め四人が顔をそろえた。息子を持つ親、娘を持つ親、それぞれが未婚の我が子を案じ、複雑な胸中を語り合う。

高望みなどしていないのにどういうわけかうまくいかない。年齢を理由に一方的に断られる。親が背中を押したことで子どもが結婚できたという話を聞いた。そんな経験談には不安と期待だけでなく、また別の本音も見え隠れした。

第3章 親が知らない子どもの婚活
未婚化や晩婚化を背景に、マッチングアプリや結婚相談所を利用して出会いを求める男女が増えている。我が家の長男も結婚相談所で婚活したが、その内情を知るにつけ、驚きと困惑が膨らんだ。

あらためて婚活の当事者たちを取材すると、多くの異性との出会いがありながら喜びよりも疲れを感じるという。親が知らない子どもの婚活、その現場ではどんなことが起きているのだろうか。

第4章 結婚カウンセラーの本音
長年婚活の現場に携わり、未婚男女をサポートしてきた結婚カウンセラーたちは、一様に婚活のむずかしさを語った。マッチングアプリや結婚相談所のデータベースで多くの異性から好みの人を選べる反面、自分も多くの中から選ばれなければならない。おまけに同じように出会いを求め、結婚相手を探しているライバルも数多い。

 熾烈な競争の場にいる子どもの一方で、婚活経験のない親の理解は乏しい。勝手に期待したり、的外れな口出しをしたりして、一層子どもを苦しめるという。

ならば親の代理婚活は是か非か。未婚の子どもを案じる親は何をどうすればいいのだろうか。

第5章 婚活ビジネスの裏側

異性のプロフィールを検索し、互いに〈いいね〉などの意思表示をすることで個人的なメッセージ交換やデートの約束ができるマッチングアブリ。「業界屈指の成婚率」、「顧客満足度ナンバーワン」、そんな宣伝文句が使われる結婚相談所。

簡単に出会い、すぐにも結婚できるようなイメージを持ちやすいが、実際に「成婚」した男女はどれくらいいるのだろう。活況を呈する婚活ビジネスの裏側を探ると、さまざまな問題が浮き彫りになった。

第6章 ウチの子の、結婚相手は見つかるか?

親の代理婚活や長男の婚活を機に当事者や結婚カウンセラーを取材、婚活ビジネスの実態などを追ってきた私に見えたのは、思いもしない「結婚の壁」だった。

ともすれば本人のせい、個人的な資質や条件が理由とされがちな未婚という現象には、将来不安や閉塞感が増す現代社会特有の問題も潜んでいる。

一方で婚活を経て結婚し、幸せな家庭を築いた人もいた。多様な視点からあらためて「ウチの子の結婚」を考えたとき、果たしてどんな答えが探せただろうか。

石川結貴 著書一覧