読書大好き少女時代
来月開催される第61回日本PTA全国研究大会みえ大会の第五分科会で、基調講演をすることになりました。
要は、PTAの国体のようなもの。
全国各地からPTAや教育関係者が数千人規模で集まる、という一大イベントです。
先日、講演者や事業担当者の打ち合わせがあり、三重県桑名市にお邪魔しました。
桑名と言えば、そう「焼き蛤(はまぐり)」ですね!
「その手は桑名の焼き蛤」って言葉が有名です。
「その手は食わない(桑名い)、 うまいことを言っても騙されないぞ」というダジャレなわけです。
江戸時代には、すでにこのダジャレが使われていたそうで、それくらい桑名の焼き蛤は有名ということでしょう。
昼食にご当地名物・焼き蛤を、とってもおいしくいただきました。
…で、おいしくいただきながら私の脳裏に浮かんだのは、「やじさん、きたさん」。
『東海道中膝栗毛』(十返舎一九/作)の弥次郎兵衛と北八、通称・やじさん、きたさんも、桑名で焼き蛤を食べています。
この『東海道中膝栗毛』、小学生だった頃に夢中で読みました。「少年少女世界の名作全集」みたいな子ども向けの本でしたが、たぶん100回くらいは読んだ記憶が。
それくらいワクワクする本で、やじさん、きたさんのずっこけ珍道中がおもしろかったのです。
二人はお金を節約しようといろんなずる賢い案を思いつきますが、たいていは失敗して痛い目に遭う。
逆に、もっとずる賢い人たちからまんまと騙されたりして、とにかくトラブルつづきの道中です。
でも、そんなトラブルにまったくめげることなく、江戸から京都まで歩いて旅をする。
道中や宿場での出来事がいきいきと描かれていて、自分も江戸時代にタイムスリップしたような興奮を覚えたものでした。
伊豆で生まれ育った私は、夏休みと言えば、海、昼寝、読書。
歩いて5分の海水浴場で泳ぎ、帰ってくると家の目の前にある共同浴場(温泉)に行きます。
少し昼寝をしたら、夕涼みをしながら本を読む、こんな毎日でした。
今振り返ると、なんと贅沢な子ども時代だったことか、としみじみ思います。
決して豊かではなかったし、ゲームもパソコンももちろんなかった。
ようやく買ってもらった一冊の本を大切に、何十回も読んで、そのたびに心が躍ったあのころ。
お金とは違う幸せがたくさんあった少女時代は、かけがえのない宝物のような時間でした。
そういう「根っこ」があって、今は本を読むだけでなく「書く」側になりました。
もちろん楽しさもあるけれど、いろんなことに追われてどこかヒィヒィしている自分がいます。
お昼においしい焼き蛤をいただいた日は、桑名から岐阜に移動してまた仕事の打ち合わせ。
帰りの新幹線は満席で、クーラーの効いた車内とはいえ、疲労をにじませた人たちのどんよりした空気が漂っています。
ちなみに、この日の夕食は、駅の構内にある立ち食いそば屋の冷やしたぬきそば。
これを3分でズズズッと掛け込んで(苦笑)、家に戻ったのは深夜近くなっていました。