リモートあるある
長引くコロナ禍で移動の自粛が求められ、対面や集合での活動が制限されている。
私も、かつては常識だった対面で打ち合わせが、オンラインミーティングになる機会が増えた。
オンラインミーティングにはzoomを利用していて、その便利さは十分に感じている。
外出先でもスマホやタブレットでつながれるし、録画もできる。
無料バージョンでも背景をぼかしたり、パワーポイントのスライドやワードの文書を画面共有できたりと至れり尽くせりだ。
とはいえ、リモートでは思いがけないトラブルも起きやすい。
一番の「あるある」は、会議中に「ピンポーン」と玄関チャイムが鳴ってしまうこと。
たいていは宅配便や書留の配達か、訪問販売だ。
救急車や消防車のけたたましいサイレン。
ブルブルと低い音を立てながら低空遡行するヘリコプター。
散歩中の犬同士がケンカするような吠える声。
カラスがカァーカァー、ギャーギャーと鳴く。
窓の外に響くさまざまな音をマイクが拾ってしまわないかと、ヒヤヒヤする。
次に、我が家の愛猫のトンデモ行動だ。
会議中は仕事部屋に入ってこないように気をつけているのだが、いつもと違う気配を察知するのか、離れた部屋から「ニャオー、ニャンニャン」と大声で鳴きつづける。
ときには仕事部屋の前まで来て壁をガリガリし、また別のときには器用にドア(引き戸タイプ)を開けて入ってきてしまう。
本人(本猫)は何食わぬ顔、というよりどこか得意満面な様子でピョンと私の膝に飛び乗ってくる。
「おいおい、カメラに映り込んじゃうよ」という場面もあったし、いきなりマイクのスタンドにかじりつくこともあった。
親しい人との打ち合わせ中ならならともかく、「大事な本番!」というときは本当に焦る。
特に生放送のテレビ番組にリモート出演するときは、念入りな「猫対策」が必要だ。
やむを得ずキャリーケースに入れたこともあったが、病院にでも連れていかれると思ったのか、大暴れして部屋中を逃げ回る。
キャリーケースに入れるまでにこちらが大汗、髪振り乱しての大騒ぎで、息を切らせながらzoomを開始、そんなこともあった。
そもそも在宅での仕事が、あらたなトラブルの火種になったりする。
現在、我が家ではIT関連企業に勤務する2人の息子が完全テレワーク中。
彼らは彼らで複数のパソコンを使って作業しながら、1日に何度もオンラインミーティングをしている。
息子2人に私の計3人が、それぞれの業務で同時にzoom中ということも少なくない。
息子たちがテレワークをはじめるにあたり、自宅をリフォームして各自の仕事部屋を確保、加えて通信環境も強化した。
結構な出費になっただけでなく、ひとつの家の中でそれぞれが忙しく仕事をこなすというのも、相当しんどい。
息子たちがオフィスに出社していれば近くの店でランチとか、私が外に取材に出るときはそのまま夕飯を済ませてくるとか、要は家族で食事をする機会はほとんどなかった。
実際、上の息子は昨年まで一人暮らしをしていたから、めったに顔を合わせることもなかった。
私はそれなりに仕事に集中できていたのだが、家族そろってテレワークやオンラインミーティングでは、「自宅でご飯」が基本になってしまう。
おまけに昼休憩や終業時刻がバラバラだったりするから、誰かのご飯終わったら、また次の人。
麺類とか、揚げ物とか、その都度調理する必要があるときは、「あー、面倒くさい。ったくもぉ」と、ついイライラする。
おまけに3食きちんと食べるようになった一方で、あちこち出歩かなくなったせいか、体重が激増した(汗)。
これも、リモート「あるある」のひとつだろう。
そんな話を仕事仲間にすると、「みんな一緒だよ」、「まだマシだ」などと返ってくる。
自宅マンションのウォークインクローゼットに机を置いているとか、小さな子どもがいて仕事にならないのでレンタルスペースを契約したとか。
集中したい作業や大事なオンラインミーティングの際には、室内にキャンプ用のテントを張ってパソコンを持ち込むという人もいる。
コロナ禍は既存の社会・経済システムに大きな変革をもたらしたと言われる。
あっという間に普及したオンラインミーティングやテレワーク、テレビ番組へのリモート出演は、今後も継続していくのだろうか。
人と人が直接会わない。
自宅で仕事が完結する。
電車にも飛行機にも乗らず、外食もしない。
そんな毎日はやっぱり味気なく、どこか心が疲れてしまう気がしてならない。