7年連続、入試問題に採用されました

拙著「小さな花が咲いた日」(ポプラ社)が、平成二十六年度の入試問題に採用された。

平成二十年度から7年連続、国語の文章問題として全国各地の私立中学や県立高校で使われている。

とはいえ、著者の私は「入試問題」になることを事前に一切知らされていない。

これは以前にも一度書いたのだけど、あらかじめ知ってしまったら「漏えい」の可能性があるから。

そもそも入試問題に使用される場合は、著作権保護の対象外。

著者は自分の作品がどんな問題になり、どう正答すればいいのか、知らないままなのだ。

では、なぜ「今年も採用された」とわかったのか?

それは、入試問題が「過去問」などの問題集になったり、塾のテストとして使われる際に「著作権使用許諾」という申請が寄せられるため。

この申請が、今月に入ってから続々と届いている。

なにしろ「過去問」などを取り扱う教材関連の出版社はたくさんある。

そうした会社から「著作権使用許諾がほしい」と書類が送られてきて、許諾の署名、押印、返送という作業がつづく。

その際、当然ながら実際の入試問題も一緒に送られてくる。

「小さな花が咲いた日」は全12話の短編小説集なので、1話ずつ話が違う。

つまり、7年連続入試問題に採用されていると言っても、その採用作品は12話のうちのどれか。問題も正答も、以前とは変わっているのだ。

今年は「靴」というタイトルの作品が採用されていた。中学2年生の息子との距離を測りかね、戸惑いながらも息子を思う父親の姿を描いた作品だ。

自分で書いておいて言うのもなんだけど、とても好きな作品なので、これが入試問題になってくれてうれしい。

問題を解きながら、同じ世代の中学生がなにかしら感じてくれたら、そんな思いも湧く。

ところで、送られてきた入試問題を自分でもやってみたら、あまりのむずかしさに驚いた。

よくある「次のA~Dの中から、下線部①の〇〇さんの気持ちを表しているものを選びなさい」みたいな問題は、何度読んでも「〇〇さんの気持ち」を表しているのがどれなのかわからない(汗)。

「Bかなぁ、いや、Dだろうか」って感じで、恐る恐る解答を確認すると「A」だったりして、もう我ながらやんなっちゃう!

おかしいなぁ、作品を書いたのは私なのに、なぜこうなるんだろう…。

もしかしたら、国語の問題を解く力と、その元となる作品を書く力は別物、ってことだろうか。

ともあれ、今年もたくさんの子どもたちが私の作品に込められた「主人公の気持ち」や、「著者の示したいこと」に向き合ってくれたことはありがたい。

もちろん、私の作品を元に、入試問題を作ってくださった専門家の先生にも感謝したい。

このむずかしい問題を無事に解いて合格を勝ち取った子どもたちが、あらたな学校生活にがんばっていることを願いつつ、さて、もう一度入試問題にチャレンジしてみようかな。