新刊2冊、刊行されました
気づけばすっかり秋も深まり、そろそろ初冬の気配。年賀状の販売がはじまって、今年も駆け足で過ぎてしまいそうです。
そんな中、新しい本が2冊刊行されることになりました。
まず1冊目は、「愛されなかった私たちが愛を知るまで~傷ついた子ども時代を乗り越え生きる若者たち」(かもがわ出版)です。
この本は、子どもたち(一部成人された方を含む)が書いた詩や作文をまとめた作品集。
アフターケア相談所「ゆずりは」所長の高橋亜美さんと私が共編著しています。
簡単に内容をご紹介。
第1章では、児童虐待を受けて育った子どもたちの「心の叫び」が綴られています。
新聞やテレビのニュースで頻繁に報じられる児童虐待ですが、当事者、被害者のリアルな体験や声というのはなかなか伝わってきません。
また、虐待を受けた子どもがその後どんなふうに生活していくのかといった実態もあまり知られていません。
たとえば、児童相談所に保護されたあと、子どもたちは何を思い、どんな苦しみや悲しみに直面するのか…。彼らの「生きる姿」が、ありのままの言葉になっています。
第2章は、恵まれた家庭で育ちながらも「親への葛藤」に悩む子どもの姿が出てきます。
一見「いい親」である両親を前に本当の自分が出せず、心が通じ合えないと悩む子どもたち。
思春期特有の繊細な心模様が表現された作品がたくさんあります。
そして第3章では、「愛、希望、再生」が語られています。
本のタイトルにもあるように、「愛されなかった」という過去があっても、必ず「愛は見つかる」、「愛を知ることができる」…、そんな未来を予感させるものになっています。
もう一冊、こちらは私が今まで取材してきた子どもの現場をまとめたもの。
「心の強い子どもを育てる~ネット時代の親子関係」(花伝社)という本です。
イマドキの子どもたちの実情を語る上ではずせないもの、それは「友達」と「ネット」、そして「コミュ力」。
スマホを駆使し、SNSで友達とつながるのが当然の子ども社会には、かつてなら考えられなかったような大きな変化が起きています。
勉強ができるとか、性格がいいとか、そういうことだけではなかなか評価されず、速攻型の「コミュ力」が求められる子どもたち。
空気を読まなくちゃ、浮かないようにしなくちゃと彼らの世界は結構しんどいことになっているのです。
そんな子どもに向き合う親は、我が子のことをわかっているようでいて、でもどこか不安…。
それでなくても将来が見えにくく、閉塞感が強まる社会環境の中で、思春期の子どもをどう育てていけばいいのか、おとなも迷っているように思います。
この本で私が一番言いたかったこと、それは「折れない心を育てよう」ということ。
勉強や成績も大切ですが、なにより今の子どもに必要なのは、「自分で決めたり、自分を守ったり、自分を肯定できる強さ」でしょう。
ではどうやって、その「心の強さ」を育てていけばいいのか―――。
ネット時代の親子関係に必要なエッセンスがたくさん詰まっていますので、ぜひお手に取っていただければと思います。
この2冊が刊行されたことで、私の著作も20冊となりました。
地道な取材をつづけながらの執筆なので、量産することはできませんが(苦笑)、貴重なお話を聞かせてくださった皆様に、この場を借りてお礼を申し上げます。
また、たくさんの読者の方に支えられ、応援していただけることに心から感謝しています。