オンライン講演のお知らせ
今年は「コロナ」「コロナ」で日々が過ぎるが、私も大きな影響を受けている。
取材をしたくても相手と直接会えないことが多く、いわゆる「現場」にも足を運ぶ機会も減った。
緊急事態宣言中は、Amazonが一部書籍の流通を止めてしまい、リアル書店は閉鎖。
Amazonが書籍販売を停止したのは、生活用品などの配送を優先するため、と言われている。
さらに予定されていた講演会のほとんどが中止や延期を余儀なくされた。
やむを得ないことだろうが、あっちもこっちも収入の道を絶たれて不安は募るばかり。
とはいえ、嘆いていてもはじまらない。
「書く」ほうは、「コロナ休校中の学習格差」や、「コロナ休校中の子どものスマホ依存」などをテーマにwebのニュースサイトで特集記事を執筆。
「話す」ほうは、オンライン講演をはじめることにした。
当初はZoomを利用して、パワーポイントスライドと自分の姿を画面共有しようと考えた。
ところが、実際にやってみると画像や音質に難がある。
個人仕様のカメラやマイク、照明などの設備では、「暗い」、「聞こえにくい」、「動きがわからない」など、いくつもの不安要素が出てしまう。
パワーポイントスライドを表示すれば、講師の姿は「ワイプ=小窓」として画面の隅に小さく映るだけ。
60分~90分という講演中、ずっとこんな状態での視聴はストレスだと痛感した。
そこで、「プロ仕様」の動画制作専門スタジオに、オンライン講演用の動画制作を依頼することにした。
収入が激減しているのに、高い制作費の支出という「涙目」状態だが、これも先行投資とわりきって挑戦するしかない。
数社から見積もりを取り、そのうちの1社で3本のオンライン講演動画を制作した。
『スマホ世代の子どもとどう向き合うか~おとなの知らない子どもの世界』 60分
『孤立と虐待のない街づくり~傷つく子どもたちを救うためにできること』 60分
『自分で考えるネット・スマホとの付き合い方』 30分
実際に制作した感想を言えば、さすがに「プロ仕様」は違う。
専用スタジオではカメラ・マイク・照明などの設備が整い、撮影した動画の編集作業もお任せできる。
出来上がった動画は高品質で、先行投資に納得できた。
動画の完成に合わせるように、ここ最近、「オンライン講演をしていますか?」というお問い合わせも増えている。
「会場開催の講演会を実施したいが、コロナの感染拡大が心配で…」という主催者には、「会場開催の講演会とオンライン講演の両方を想定した準備」などもお勧めできる。
地方の主催者の場合、「講演当日、飛行機が遅延して講師が到着しなかったらどうしよう」といった不安の声も少なくない。
そんな場合でも、事前に講演動画を用意しておけば、万一講師が到着できなくても慌てずに済むはずだ。
なにやら営業っぽくなってしまったが(汗)、今回、オンライン講演用の動画を制作したことで、あらためて「変化」について考えた。
たとえば「本」。
出版業界には「やっぱり紙の本でなくちゃ」という人が多いし、私も基本的には紙の本の愛読派だ。
けれども緊急事態宣言中、Amazonやリアル書店で本の流通が止まったとき、「電子書籍」のほうは順調に売り上げていた。
読者に選択肢が増えるだけでなく、本を作りだす作家や編集者にとっても、従来とは違った売り方が増える。
取材についても、アポイントメントを取るのが楽になった。
以前なら相手のスケジュール調整や取材時間の確保が大変だったが、Zoomを使えば比較的スムーズにいく。
「コロナは壮大な社会実験」とも言われ、既存の生活様式や価値観からの転換が注目されている。
会社員なら「台風でも出社」だったのが、「自宅でテレワーク」という変化に見舞われつつある。
そうした働き方でもやっていけることに気づけば、おそらく元の方法には戻らないだろう。
テレワーク同様、オンライン講演も転換点には違いないが、会場開催の講演ならではの臨場感は捨てがたい。
聴講者のうなずきや視線、笑いに涙、そして拍手…。
それに呼応して精一杯の講演ができるときが来るように、日々の努力を怠らないようにしたい。