「子ども食堂」でボランティア

「子ども食堂」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

さまざまな事情で、ひとりぼっちでごはんを食べなくてはならない。

毎日の食事がコンビニ弁当やカップラーメン。

経済的に困窮している。

おとなの目が届かず不安定な状況にある。

――そんな子どもたちに向けて、「おいしいご飯を食べにおいでよ!」と呼びかけ、温かい食事を提供する支援活動です。

今では全国に活動の輪が広がり、各地で趣向をこらした取り組みが行われています。

地域のおばちゃん達が「おふくろの味」を提供する。

大学生や若者を中心に、熱気あふれる食事の場を用意する。

老若男女が結集して、ご飯だけでなくイベントや無料学習会を催す。

子どもに限らず、食事の準備が大変なお母さんやお父さんも参加OK。

こんなふうに、いろいろな形で実施されています。

今回、私は埼玉県川口市の「かわぐち子ども食堂」でボランティアをしてきました。

「かわぐち子ども食堂」は3月26日(土)にスタートしたばかり。

その記念すべき第1回目に、微力ながらお手伝いさせていただいたのです。

「かわぐち子ども食堂」のリーダー・Sさん(40代・男性)は、昨年、私が刊行した『ルポ 居所不明児童~消えた子どもたち』の読者の方です。

Sさんは、私の本に「衝撃を受けた」と連絡をくださり、その後、講演会にも参加いただきました。

そんなご縁があったとはいえ、Sさんから「川口市で子ども食堂をはじめます」とお知らせがあったときは驚きました。

なにしろSさんは、外資系企業のサラリーマン。お仕事が忙しいだけでなく、ご家庭には2人の息子さんもいます。

いろいろな意味で責任を負う立場でありながら、「かわぐち子ども食堂」を開設するために、日夜奔走されていたようです。

Sさんから連絡をいただき、私は早速「少しは料理もできるので、よかったらお手伝いさせてください!」と返信。

当日はエプロンと三角布を持参して、料理班に入りました。

ちなみに献立は、カレーライス、おひたしサラダ、フルーツのデザート

食事代は子どもが50円。おとなは250円です。

地域のお子さん、親御さんが来所してくださり、運営スタッフやボランティア、見学者など総勢50人が集結。

調理場では、陣頭指揮を執る料理リーダーさんの指示のもと、野菜を洗ったり、お肉を炒めたり、各自がわいわいと奮闘しました。

食事が終わり一段落ついたところで、ボランティア参加されていたお母さんから赤ちゃんを預かりました。

お母さんがずっと「おんぶ」をされていて、「大変でしょ? よかったらしばらく私に預けてみませんか」と言ってみたのです。

お母さんは、「ありがとうございます」と笑顔で了解してくださいました。

生後8か月の女の子ですが、まぁとにかくかわいいこと(写真は加工しています)。

食べちゃいたいくらいのかわいさで、お母さんに「この子、このまま連れ帰りたい!」と言ったくらいです(笑)。

抱っこしたり、ひざの上に座らせておもちゃで遊んだり、本当に幸せなひとときをいただきました。

自分の子育てを振り返り、「ああ、あの時代は本当に幸せだったんだなぁ…」とジーンとしたくらいです。

「子ども食堂」の第一の目的は、「子どもたちがおいしいご飯を食べる」ことでしょう。

でもそれは入り口で、実はもっと広い視点が大切だと思います。

孤立や貧困などの社会的問題を解決するための活動。

「つながり」や「居場所づくり」といった目的。

それら自体はすばらしいとしても、一方的に「与える場」であってはならないと思うのです。

「ご飯を食べさせてあげる」とか「楽しい時間を過ごさせてあげる」という視点だけでは、困難を抱えた子どもや家庭はかえって苦しくなってしまうこともあります。

人は誰でもプライドを持っています。

どれほど困った状況であっても、その人自身になにかしらの「力」があるのです。

助けてもらってばかり、与えられるだけの立場ではなく、自分もまた誰かの役に立っているという実感を持ってもらえるかどうか。ここが大事なのではないかと思います。

私が抱っこした赤ちゃんは、私に「世話してもらった」だけではありません。

赤ちゃんのほうも私に喜びを与えてくれ、楽しいひとときをプレゼントしてくれたのです。

つまり「お互い様」。

こうした視点があってこそ、「子ども食堂」のような活動は真に受け入れられていくのではないでしょうか。

次回は2016年4月30日(土)に実施予定です。

興味のある方は、こちらを参考になさってください。
http://ameblo.jp/satosato218/