活動報告

活動報告

2014.07.21
誰が「消えた子ども」を探すのか~厚生労働省が実施する「所在不明の子ども」調査

「東京都内で378人の子どもが所在不明」、「兵庫県で97人の子どもの所在が確認できない」...、このところ「消えた子ども」に関する報道が増えている。

なぜこうした不明者数が出てきたかというと、今年4月、厚生労働省が全国の自治体に調査の実施を求めたからだ。
 
具体的には、住民登録上の住所に住んでおらず学校に通っていない子ども(居所不明児童生徒)、乳幼児健診を受けずに所在が確認できない乳幼児、本人や保護者と連絡が取れない18歳未満の子どもなどを対象にしているという。
 
行方不明の子どもの調査は「文部科学省」がやってるんじゃないの? と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれないが、文部科学省が行っているのは「学齢期(6歳~15歳)」の小中学生を対象にしたもの。

つまり、就学前の乳幼児や、義務教育を終えたあとの子どもは調査対象に入っていない。

また、文部科学省が公表する「居所不明児童生徒」は、あくまでも「日本国籍を有する」子どもをカウントしただけだ。

一方、今回の厚生労働省の調査では、前述したように乳幼児や学齢期を過ぎたケース、それに外国籍の子どもも対象になっている。

厚生労働省が調査結果を公表するのは8月末らしいが、これだけ対象を広げると、全国規模では相当数の行方不明者が出てくるのではないかと思う。

長年、「消えた子ども」の問題を追ってきた私からすると、調査自体は進展と言えるが、同時に「で、その先はどうするわけ?」という思いが拭えない。

そもそも文部科学省が居所不明児童生徒の数を、毎年、毎年、公表してきたのだ。

直近の3年間だけでも、「2011年=1191人」、「2012年=976人」、「2013年=705人」(いずれも学校基本調査)と報告されている。

一見すると減っているように感じるが、2011年以前の調査では毎年300~400人前後で推移していたわけだから(まともな調査が行われていなかった)、単純に「減っている」などと喜ぶような人がいたら「おめでたい」と言わざるを得ない。

なによりも、文部科学省だろうと厚生労働省だろうと、こうした調査結果をもとに「いったいどうするのか?」というのが核心のはず。

つまり、〇〇人の子どもが行方不明です、と調査や報告したあと、誰が、どうやってその子どもたちを探すのか、ということだ。

私は新聞や週刊誌、テレビでこの問題へのコメントを求められるたびに強調しているのだけれど、「調査のあと、具体的にどうするの?」という部分がまったく見えない。

一応、文部科学省では「所在不明の子どもがいた場合、児童相談所などに連絡し、事件性がある場合は警察に相談。出国した可能性がある場合は入国管理局に照会」するよう各地の教育委員会へ通達を出している。

まぁそれくらいの相談や照会はできるだろうけど、いろいろやっても「見つからない」場合はどうするのだろう?

相談や照会すら「やっていない」という場合は、いわゆるお手上げ状態で放置しているということだろうか。

実際に、文部科学省が行った実態調査では、全国の教育委員会の46%が「児童相談所など他機関とは連携していない」と回答しているのだ。
 
また、過去に所在不明だった子どもたちは、自治体の職権で住民登録自体がすでに「抹消」されている可能性も大きい。住民登録上の住所にあきらかに住んでいないことが確認できた場合には、管轄する役所が住民票を削除してしまうため、「住民登録があっても所在が確認できない子ども」という調査要件からもはずれてしまう。

「消えた子ども」の問題を追いつづけると、本当に暗澹たる気持ちになる。

生まれたはず、生きていたはず、学校に通うはずだった子どもが「消えた」というのに、そしてそれはもう何十年も前からつづいているのに、いったいこの国は何をやってきたんだろう。

人口減とか、地方が消滅するとか言って、「少子化対策が急務」などと熱くなっている人たちがいる。そんなに子どもが大切なら、それこそ「消えた子ども」の問題をどう解決すればいいのか、現実的な対応策を示し、すぐにも実行してほしい。

今夏、厚生労働省の調査結果が出ると、あらためて「消えた子ども」に大きなスポットが当たるだろう。繰り返しになるが、それはひとつの進展であっても、問題はその先なのだ。

仕事先のビルから望む東京の光景は美しい。

皇居の深い緑の奥に、林立する高層ビル群、遠くスカイツリーも見える。

世界でも有数の豊さを誇るこの街で、378人の子どもが所在不明(今後、正式な調査結果によっては数字が変わる可能性がある)とは、あまりに悲しい現実ではないか。

当の子どもたちは、今どこで、どんなふうに暮らしているのか、つくづく胸が痛い。


石川結貴


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