活動報告

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2014.06.23
居所不明児童生徒~「消えた子ども」の問題について再び

居所不明児童生徒、一般の方には聞き慣れないこの言葉を、私は6年前からずっと追いつづけてきた。

2011年12月に上梓した「ルポ 子どもの無縁社会」(中公新書ラクレ)の中で詳しく書いたが、それまでまったく関心が持たれなかった問題に、はじめてスポットを当てたと自負している。

今月、神奈川県厚木市で男児の白骨化した遺体が発見され、その男児が「居所不明児童」だったことでテレビや新聞、雑誌が大々的に報じることとなった。

私も「居所不明問題の専門家」としてずいぶんとコメントを出したが、この事件の報道の在り方には不足の点が目立つ。

まず、「居所不明児童生徒」の人数を705人としている点。ある大新聞は「705人の子どもたちが行方不明のままとは信じられない現実だ」などと「いかにも衝撃的!」という感じで書いていた。

だがこれは、現実を正確に反映しているとは言い難い。

「705人」は、あくまでも2014年5月時点の学校基本調査で集計された数字であり、要は今現在の小中学生のうち705人の所在が確認できないということ。

0歳~6歳の未就学児や、過去に所在が確認できないまま義務教育期間を過ぎた子どもは入っていないのだ。

たとえば3年前に中学校に在籍(書類上)し、居所不明だった子どもは、この数字にはカウントされていない。そんなふうに過去の居所不明児童生徒を累計していけば、万単位の子どもが所在不明のまま放置されている。

どうしてこういう「衝撃」をきちんと報じないのかと、正直とても失望している。

また、日本を代表する某テレビ局は今月半ば、ある情報番組の中で「消えた子ども」の問題を特集した。

その10日ほど前、担当のディレクターから私のもとに連絡があり、こちらも忙しい時間をさいて懇切丁寧に居所不明の背景や問題点を説明した。

ところがそれっきり、私には何の連絡もないまま番組が放映される始末。

おまけに番組内では、私が説明した内容がそのまま使われているではないか?!

私はたまたまその番組を見ていたが(なにしろ放映について何の連絡もなかったから)、あまりのことにディレクターにすぐに連絡した。

すると、「配慮が足りませんでした」とかるぅーく言われて絶句。

仮にも専門家から長々と話を聞き、その内容を参考に番組を作ったのなら、せめて「〇日に放映することになりました。ご協力ありがとうございます」と事前に一報するのが常識じゃないの?

もちろん居所不明児童生徒の問題がクローズアップされることはありがたい。

なにしろ以前は孤軍奮闘で取材をしていたから、こうしていろいろなメディアが取り上げてくれるようになったのは前進したという思いがある。

だが、文部省(現文部科学省)の学校基本調査で「居所不明児童生徒」の調査がはじまったのは1961年。すでに52年前から「所在が確認できない子ども」、「消えたまま放置されている児童」はいたのだ。

厚木の事件と同様に、どこかで人知れず亡くなっている子どもだって相当数に上る可能性がある。

そうした根深い現実を見据えて、真に問題の背景を探る報道は果たしてどれくらいあるのだろうか。

この問題を追ってきた私には、上っつらだけで「消えた子ども」などとセンセーショナルに語られることがどこか釈然としない。

そもそも、子どもはみずからの意思で「消えた」のではなく、なんらかの理由で「消された」のだ。

厚木の男児は進んで「居所不明」になったわけでは決してなく、むしろ必死の思いで救いの手を待ちわびていた。

電気も止められた真っ暗な部屋で、飢えと渇きに苦しみながら絶望の果てに命が尽きた男の子を思うと、私の胸はつぶれそうになる。

どんなに取材を重ねても、どれほど問題を訴えても、こうして次から次へと子どもの死が伝えられるたび、私の心も折れそうになる。

繰り返し書くが、万単位の子どもが所在不明のまま放置されているのだ。

誰がその子どもたちを救うのか、どうこの問題を解決していくのか、一日も早く社会的な動きが起きてほしい。

石川結貴

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